今やオリーブオイルは、おそらく一家に1本常備されている調味料。
オリーブオイルは毎日使っているよ!
という人も多いのでは?と思います。
ところで、オリーブオイルの賞味期限が切れてしまったら、もう捨ててしまうしかないのでしょうか?
期限が大幅に過ぎてしまったオリーブオイルを実際に使って、劣化度合を徹底検証してみたところ・・
まだ十分に使える品質だったこともありました!
- 賞味期限切れのオリーブオイルはもう食べられないのか?
劣化度合はチェックしてみないとわからない - オリーブオイルの劣化がひどくないと判断した具体的なポイント
- オリーブオイルの正しい保管方法は?
- 劣化してしまったオリーブオイルの活用法
- オリーブオイルの賞味期限について
正しく保管していたら、期限が過ぎても大丈夫なこともあるのがオリーブオイル・・・
その理由についてもわかりやすく解説しました。ぜひ最後までご覧ください。
イタリアオリーブオイルソムリエのミエッタです
- オリーブオイルの産地を巡るのが好きな元国際線CA
- これまでに延べ500種以上のEVオリーブオイルを試飲
- イタリアの複数機関でオリーブオイルを学び、資格を取得
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オリーブオイルとは【果実を搾ったオイル】
オリーブオイルは・・・
種から搾った種油ではなく、フレッシュなオリーブを搾っただけの果実オイル
もう少しわかりやすく説明すると
オリーブ果実を潰して油分が浮いたオリーブペーストから、【水分】と【搾りカス】を遠心分離機で取り除いた【オイル】です。
オイルという形の生のオリーブ果汁だね!
だからこそ、新鮮さが大事。
オリーブオイルの賞味期限や収穫年のチェックは必ずしてね。
関連記事: オリーブオイルソムリエの筆者が常備している普段使いのオリーブオイル
オリーブオイルの賞味期限とは?【目安に過ぎない】
つい先日、キッチン収納棚の整理をしていたら、使うのを忘れていた未開封の古いエキストラバージンオリーブオイルがひょっこり出てきました。
使わずにしまいこんで、そのまますっかり忘れていたんです。
おそらく、展示会か専門店かどこかで試供品としていただいたものと思われる100mlの小さなボトル。
小さなボトルとはいえ、かなり名の知れた生産者の最高レベル級オリーブオイルだったので・・・
わぁーもったいないことをしたなぁー。
と、おそるおそるチェックしてみると・・・
なんと1年4カ月も賞味期限を過ぎていたオリーブオイルでした。
未開封とはいえ、さすがに1年以上も賞味期限が過ぎたオイルはもう使えないだろうなぁ。
でも検証だけはしておこう!
ということで、実際に検証してみました。
その結果は・・・まだ十分に使える品質でした♪
捨ててしまわなくてよかったね♪
でも大丈夫と思った判断基準っていったい何だったのだろう?
オリーブオイルの賞味期限を読む
搾りたてオリーブオイルのある食卓
オリーブオイルの国際規格を定めている政府間機関「インターナショナル・オリーブ・カウンシル(International Olive Council/IOC)※」の規定では、賞味期限について、次のように定められています。
エキストラバージンオリーブオイルの賞味期限は、オイルを瓶詰めしてから18か月までの間 でなければならない
まずは、北半球の国ではオリーブの収穫は秋に行われるということを頭に入れておきましょう。
棚の奥から今回出てきた古いオリーブオイル。
賞味期限の日付から、さらに18ヶ月逆算してみると・・・
なんと!3年前の秋に収穫したと思われるオリーブのオイルでした。
3年前の果実のジュース・・・
(※ 日本はIOCには加盟していません)
賞味期限切れのオリーブオイルを捨てる前に【品質の判断方法】
3年前に収穫したオリーブのオリーブオイル。
(賞味期限からは1年以上が経過)
さすがに古そうだ・・・
あきらめつつも念のためキャップを開封し、おそるおそるオリーブオイルの風味を確かめてみることにしました。
小さなカップにオリーブオイルを注ぎ、まずは香りを確認。
すると、青草のような緑の香りがしました!
ポジティブな印象の香り♪
引き続き、オリーブオイルを口の中に入れてみると、予想していたよりもいい品質を保っていました。
まだ大丈夫と感じた、主な判断理由は次のふたつ。
古いオリーブオイルを口に入れてみて感じたこと
- 皮つきクルミのような苦みを含むナッツ感。
>>ネガティブな印象ではない - 後からノドの奥をピリッと刺す辛み。
>>オリーブオイルがもつ辛みはポリフェノール由来
とはいえ、劣化オイルの特徴のひとつであるもったり感も多少はありました。
この点だけは、少し微妙でした・・・。
まぁベタベタまではいってないし、ギリギリセーフってとこだね。
賞味期限が大幅に過ぎたオリーブオイル【ひどい劣化がなかった3つの理由】
今回のかなり古いオリーブオイルで、考えられる「ひどい劣化がなかった理由」を挙げてみます。
オリーブオイルの品質が守られていた主な理由
- オリーブオイルにとって最適な環境下で未開封のまま保管していた
劣化スピードがゆるやか - 元々ポリフェノール値が高い品種のオリーブから搾られていた
オイルがもつ高い抗酸化力に守られた - 毎年多くの賞を獲得している生産者のオリーブオイルだった
おそらくもともとが最高品質だったと思われる
オリーブオイルにとって最適な環境とは?【保管方法】
古いオリーブオイルの劣化が少なかった理由を、ひとつめからみていきましょう。
\オリーブオイルの品質が守られていた理由①/
オリーブオイルにとって最適な環境下で未開封のまま保管していた
劣化スピードがゆるやか
オリーブオイルの保管方法について、劣化をさけるために覚えておきたいことが3つあります。
- 光・・・光によって、オリーブオイルの酸化が急速にすすみます
- 高温・・・温度が高いと、オリーブオイルに含まれるポリフェノールが早く減っていきます
- 空気・・・保存している容器内に空気が多いと、オリーブオイルの酸化がすすみます
この中でも、とくに光には注意だよ!
オリーブオイル専門店のなかには、展示用のオリーブオイルだけを商品棚にならべているお店もあります。
購入用のオリーブオイルは別に管理してくれているんだね!
それなら安心できそう。
オリーブオイルはオレイン酸(一価不飽和)が主体のオイルなので、植物性オイルの中では酸化スピードがゆるやか。
冷蔵庫に入れるほど神経質になる必要はありませんが、以下のことに気をつけて保管するようにしてください。
- 暗い場所に保管する
日光や蛍光灯などの光が入らない場所で - 涼しめの常温で、温度変化の少ない場所で保管する
暑さには弱いので、夏はできるだけ涼しい場所に - 開封後は、できれば1~2ヶ月で使いきる
もしくはオリーブオイルが少なくなってきたら、小さな容器に入れかえる
オリーブオイルとポリフェノール値との関係
古いオリーブオイルの劣化が少なかった理由ふたつめ。
\オリーブオイルの品質が守られていた理由②/
元々ポリフェノール値が高い品種のオリーブから搾られていた
オイルがもつ高い抗酸化力に守られた
エキストラバージンオリーブオイルには、ポリフェノールやビタミンEなど抗酸化作用のある成分が含まれています。
今回の古いオリーブオイルは、元々ポリフェノール値が高い品種のオリーブから搾られたオイルでした。
ちなみにポリフェノール値は、オリーブオイルによってそれぞれ違います。
ポリフェノール値がオリーブオイルごとに異なる要因は、主に次のふたつ。
オリーブオイルによってポリフェノール値が異なる主な要因
- オリーブの品種による違い
今回の古いオリーブオイルは、ポリフェノール値が高いオリーブ品種でした - オリーブの収穫時期の差(実が熟すタイミングの違い)
オリーブは、完熟に近づくにつれポリフェノール値が低くなっていきます
ポリフェノール値が高いほど上質なの?というと、そうとも言い切れないのがオリーブオイル。
ポリフェノール値が高いと、辛みが強くパンチのきいた味わいのオリーブオイルになります。
オリーブオイルによって香りや味が違うのは、ポリフェノールなどの微量成分の違いによるんだよ。
オリーブオイルの風味の個性・・・
ワインがブドウ品種によって味や香りが違うのと似ているね!
マイルドだったり、フルーティーだったり、パンチの効いた風味だったり、いろんな味わいのオリーブオイルがあるよ
本記事でテイスティングしたオリーブオイルと、オリーブの品種と産地がほぼ同じエキストラバージンオリーブオイルを紹介します。
\箱入りなので贈り物にも◎/
イタリアオリーブオイルソムリエのひとことメモ
- 産地:イタリア・トスカーナ地方の内陸部キャンティやシエナ近郊。
- 渋みのある野菜/緑の草/アーティチョークを感じる味と香り。
- 辛みと苦み、どちらもしっかり感じられる。
- この1本があれば、塩も胡椒もハーブも使わなくていい・・・
調味料的な使い方ができるオリーブオイル。
実際にテイスティングしました!
受賞歴のあるオリーブオイルについて
古いオリーブオイルの劣化が少なかった理由の3つめ。
\オリーブオイルの品質が守られていた理由③/
毎年多くの賞を獲得している生産者のオリーブオイルだった
おそらくもともとが最高品質だったと思われる
「○○受賞」というオリーブオイルの説明文を目にしたことのある人も多いかと思います。
正直なところ、筆者はオリーブオイルの受賞歴に関してはあまり気にしてはいません。
コンクールに出品してなくても、素晴らしい品質のオリーブオイルはたくさんあるからね
どちらかというと、オリーブオイルに詳しい人からの口コミや自身の経験から判断。
可能ならテイスティングで確認してから購入することが多いです。
コンクール受賞オリーブオイルについては
生産者やインポーターのコメントが公表されていることが多いので、コメントを読んで、オリーブオイル選びの目安のひとつにしています◎
古いオリーブオイルの活用方法
賞味期限が過ぎたオリーブオイル。
もし明らかに劣化していたらどうするの?
今回チェックした、賞味期限が1年以上経過したオリーブオイル。
かろうじていい品質の特徴が感じられたとはいえ、劣化オイルの特徴のひとつ「もったり感」もありました。
もしオリーブオイルの風味の劣化が気になる人は、生食用としてではなく加熱用オイルとして使いきるとよいでしょう。
ただし・・・
- 劣化によるネガティブなオイル臭、
- ベタベタ感があるオリーブオイルは、もう口には入れないでください。
お料理の香りや味を損なうだけでなく、健康にもよくないよ
古いオリーブオイルの使い道を、いくつか紹介します。
アロマクラフトの材料にする【オリーブオイル軟膏】
開栓してなかなか使いきれず、オリーブオイルの風味が少し落ちてきたなと感じたら・・・
アロマクラフトの材料としてオリーブオイルを使うのもおすすめ。
キューティクルバームやリップバームとして使えるよ
口に入れても安心!
基本のオリーブオイル軟膏レシピ(タップすると開きます)
- オリーブオイル 20ml
- ミツロウ(ビーズワックス) 5g
- 好みの精油 数滴
(軟膏 約30ml分 )
- 耐熱ガラス容器にオリーブオイルとミツロウを入れ、湯煎する。
- ①をクリーム容器などに流し入れる。
- 精油を1滴加え、竹串でよくかきませる。
- 軟膏が完全に冷めたら、フタをして完成!
基本の軟膏レシピにハチミツなどを少し加えても◎
手作りキャンドルの材料にする【オリーブオイルキャンドル】
劣化したオリーブオイルは、手作りキャンドルの材料として活用できます。
天然素材のミツロウとオリーブオイルでつくるキャンドルの灯りは、やさしくて癒されます
オリーブオイルキャンドルの作り方(タップすると開きます)
- 古いオリーブオイル
- ミツロウ(ビーズワックス)
- 丸いアルミ容器(100円ショップで買っています)
- 綿たこ糸
- 割り箸1本
- (お好みで)好きな香りの精油を数滴
- 割り箸(割らない)の割れ目のあいだに、カットした綿たこ糸をはさんでおく。
- 耐熱ガラス容器に古いオリーブオイルとミツロウを入れ、湯煎してミツロウを溶かす。
- 丸いアルミ容器に①を流し込む。
(精油を入れたいときはここで数滴落とし、竹串ですばやく混ぜあわせる) - ①の綿たこ糸つき割り箸を③のアルミ容器の上にのせ、液状のミツロウのなかに①割り箸ではさんだ綿たこ糸を浸ける。
- アルミ容器のなかのミツロウが固まったら完成!
④で溶かしたミツロウが固まる前に、割り箸にはさんだ綿たこ糸を垂らすのがポイント。
作り方は「基本のミツロウ軟膏」とほぼ同じ。
キャンドル作りでは、ミツロウの量を少し多めにしてくださいね。
固めて廃棄する/オイル回収ステーションへ持ち込む
劣化して食べられないオリーブオイルを廃棄するときは、「家庭用オイル 油凝固剤」で固めてから廃棄しましょう。
破棄したいオイルを回収してくれる「オイル回収ステーション」を設置している施設やお店もあります。
不要オイルを持ち込める「オイル回収ステーション」
近所にもあるかもしれないので探してみてね
オリーブオイルの品質と賞味期限|まとめ
賞味期限の日付けはラベルのどこかに記されていますが、その日を一日過ぎてしまったからもう破棄しなければならないというものではありません。
オリーブオイルの賞味期限は、製品を使用することが望ましい日付を示しています。
正しく保管されていたオリーブオイルは賞味期限が過ぎても特性の変化は少ないため、安全に食すことができます。
オリーブオイルの消費期限は、目安にすぎないんだね。
ラベルに書かれた情報もたいせつですが、開封して使う前に
- どんな香りや味わいがするのか?
- 品質はどうか?
を知るべく、できることなら実際にオリーブオイルをテイスティングして自分の五感で感じてみることをおすすめします。
オリーブオイルのテイスティング風景
賞味期限内であっても、何らかの原因から劣化してしまっている残念なオリーブオイルも存在します。
- 賞味期限内だから大丈夫
- 賞味期限が1ヶ月過ぎても大丈夫だけど、3ヶ月過ぎたら食べられない
……など 数字だけでは断言できないのが、オリーブオイルの品質。
専門家でも、開栓前のオリーブオイルを見極めるのは難しいよ
オリーブオイルの香りや味を嗅ぎ分け、自分で品質をチェックできれば、より安心ですね。
またオイル全般にいえることですが、保管の仕方が悪いと劣化が促進してしまうので気をつけましょう。
- 日光や蛍光灯などの光が入らない場所で保管する
- 涼しめの常温で、温度変化の少ない場所で保管する
→ とくに暑さには弱いので、夏はできるだけ涼しい場所に - 開封後は、できれば1~2ヶ月で使いきる
オイルは光・高温・空気(酸素)に弱い!
本サイトでは、これからもオリーブオイルに関する記事を書いていきます。
よかったら時々のぞきにきてくださいね
さいごまでお読みいただき、ありがとうございました。
オリーブオイルを選ぶときに 品質と価格との妥協点で悩みませんか?
「安心の品質なのにジャバジャバ普段使いできるオリーブオイル」についての記事も、あわせてご覧ください。